<ヨーロッパに於ける演劇の歴史という観点から>
バロック演劇の研究家である藤井名誉教授より、日本人には表向きだけでは見えない西欧の 「オペラ」の本質をかいつまんで、解説していただいた。 普段何気なしにオペラをクラシック音楽の一ジャンルとして鑑賞している日本人的芸術世界から より突っ込んだ「オペラ哲学」をつかみ取れたような解説であったと思います。 個々の歴史的オペラ事項は省略して、解説のポイントになると思われる点を列挙しておきます。 1.ヨーロッパの演劇の歴史の流れを分類すると、言葉(言語表現)の演劇(古典主義演劇)と 目(映像)と耳(音楽)の演劇(バロック演劇)になり、前者が本流で、後者は亜流で、 文化的価値からすると一段下に見なされている芸術であること。 しかしながら、日本に於いては、歴史のどの時点においても、どう見ても「演劇」よりも いわゆる「歌舞伎」などの「バロック演劇」の方が、好まれ、親しまれ、より芸術的香りが高いと 見なされている向きがある。(芸術に絶対的価値評価は、むづかしい問題だが) 2.「オペラ」の原形態は、イタリアのルネッサンス運動下の16世紀後半フィレンツェにおいて、 貴族の余興としての喜劇に関係して派生してきたとのことで、もともと、「オペラ」なる概念が あって成長してきたのではなく、喜劇の幕間劇という形態であったとのこと。 (参考)最初のオペラは「ダフネ」1594年で、豊臣秀吉が伏見城を築いた頃になります。 出雲の阿国が京都で歌舞伎踊りをするのが、1603年ですから、その約10年前。 現存最古オペラ「エウリディーチェ」(1600年)ペーリ作曲で、王族の婚礼フェスタ として、上演された。(2001年日本で初演された。) 3.日本では、オペラと簡単にいっているが、正しくは、イタリア語では、「Lira」 「Lilica」「Opera Lilica」「Lilica Italiana」など の方が歴史的に言語的に正しい。フランス語でも「Lyre」「Tragedie lyrique」などとなる。ちなみに1950年代から何度も来日した本場イタリアの オペラ公演の正式名は「リリカ・イタリアーナ」であった。 4.Operaの上演歴史の中で、エポックメイキング的な作品にして、どうしても鑑賞して おく必要がある作品として、時代順に次のようになっている。 モンテヴェルディ作曲「オルフェーオ」(1607年マントヴァ) グルック作曲「オルフェーオとエウリディーチェ」(1762年ウィーン) オッフェンバック作曲「地獄のオルフェ」(1858年パリ) アルバン・ベルク作曲「ヴォッツェック」(1925年) プッチーニ「トーランドット」(1926年) ショスタコービッチ作曲「ムツェンスク郡のマクベス夫人」(1934年) アルバン・ベルク「ルル」(1937年)(2003年11月日本人による上演予定あり) 今回の公開講座の情報より、次回の「ハフナ音楽談話室」でのOpera鑑賞は、 ショスタコービッチやアルバン・ベルクの代表作品を採り上げることにした。