日本人の平均寿命も長寿化し、嘗て人生七十古来稀なり、と言われた杜甫の詩句を越えること二歳、
筆者は若い頃から蒲柳の質であり、古希などとてもとてもと思っていたものが、いつの間にか古希を
越えてしまった。筆者は幸い古希まで仕事をすることが出来たが、丁度古希の前後で、仕事の合間を
縫って「西洋音楽の歴史」と題する小冊子を上梓した。
出版後間もなく筆者の公的な仕事も完全に卒業する事となっが、その頃、盟友S.F氏(ハンドル
ネーム;サゴジョウ楽師)と音楽についての談話会を始めた。
然しもう少し人数が多い方が話題も増えるのではないかと考えて、N氏(ハンドルネーム;錦生如雪
楽徒)を誘い、「ハフナ音楽談話会」なるものを立ち上げた。この頃になると筆者も完全に毎日が
All Sundayであり、退屈しない様に大学の市民講座、或いは大阪音楽大学のH教授ご担当のミレニアム
ホールでのレクチャーコンサートに参加したりしていたが、常々もう一つ何かを書けたら・・と言う
念願を持っていた。
丁度その頃、筆者の若い頃の先輩であるT.F氏より「提琴史」なるものを書いてみては、と言う
提言を頂いた。実はT.F氏とは若い頃の音楽仲間であり、私がヴァイオリン(Vn)を始めたのも
実は彼との交友があった事がきっかけであった。彼はそこで「ヴァイオリン(Vn)史」と云わずに
「提琴史」と言った事が妙に気に入り、「我々の若い頃はヴァイオリン(Vn)とも提琴とも
言った。」書いてみようかなと、思いついた次第である。
然し、よくよく考えてみると大変遠大なテーマであり、また多くの人がいろいろな書物を出版されて
いるので約半年間迷っていた。ところが今度は錦生如雪楽徒が、音楽評論家の吉田秀和氏の様に、少し
ずつ書きためて行き、ホームページに貼り付けて、終われば再構築し、推敲して仕上げればどうか、
との提言を受け、やっと重い腰を上げたわけである。
構想としては、一冊の本でヴァイオリン(Vn)の誕生、ヴァイオリン(Vn)の製作の歴史から
ヴァイオリン(Vn)音楽の発生、演奏技法の変遷、弓の進歩、世界の名演奏家、及び日本に於ける
ヴァイオリン(Vn)演奏技術の進歩、かっての名演奏家から現在活躍をしている中堅の演奏家、
さらには今後活躍するであろうと言う人物を紹介をするという、いわば「ヴァイオリン(Vn)の
ハンドブック」の様な形にする事とした。
約一年半掛りで、ここにようやく上梓する事が出来た。今回の書物が何らかの参考になればと願う
次第である。
なお、以下の本文中では、「ヴァイオリン」を「Vn」と略記する。