「ヴァイオリンとヴァイオリン音楽」(仮題)と言う大それたネーミングの書物を上梓する事に
なったが、これは筆者が若い頃、曲がりなりにもヴァイオリンを嗜み、筆者の師匠から、レッスンの
度ごとに、勿論ヴァイオリンの演奏上の事が主体であるが、それ以外にヴァイオリンと言う不可思議な
楽器について、或いは昭和初期に来日したハイフェッツやエルマンの演奏会(来日した名演奏家の
演奏はほとんど聞いて居られた。)の感想や、エピソードなど、いろいろなお話をして頂いた。
筆者はヴァイオリンの厳しい練習よりも、練習後のそのようなお話を聞くことが本当に楽しみで
あった。その思い出が今回古希を過ぎた私にこの様な大それた企画を進めるに支えになってくれたと
思っている。
またT.F兄、 サゴジョウ楽師、錦生如雪楽徒、が親身になって、推敲や助言を頂くだけでは
なく、お手伝いして頂いたことについて感謝の念を禁じ得ない。心より御礼をを申し上げたい。
この冊子を著述して行く間、筆者はヴァイオリンと言う不可思議な楽器をいろいろな面で再認識を
すると同時に、これを操るすさまじいまでの力を持った名演奏家、天才の存在を目の当たりにしたと
同時に、この天才を育てた師匠の能力についても、改めて考えさせられた。
これは私見であるが、「天才と言うものはない、環境を与えてやれば、誰でも出来る。」と言う 鈴木鎮一先生の言葉と実行力には感動しつつも、然し筆者が一生掛かっても絶対に出来ない メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲やチゴイネルワイゼンなどを僅か7才とか8才でリサイタルに のせて、いとも簡単にやってのけると言う事実を目の当たりにすると、私は矢張り天才というのは、 持って生まれた天性というものではないかと考え込んでしまう。
ただ一つ、この冊子には出てこなかったが、江藤俊哉が川畠成道に、
「ヴァイオリンを上手に弾ける人がヴァイオリニストで、音楽家というのは、
更に音楽的表現を加えて弾ける人で、芸術家と言うのは、その音楽に魂を
込めて弾ける人だ、単にうまく弾けるだけではいけないんだ」
と言われたそうである。
私は今までに色々と書いてきたが、
演奏の根元は、人の心を動かす演奏をする事である、
演奏家の多くはこの事を常に頭に描いて練習に励んでいると思われるが、
その音楽を享受する我々も、同様に勉強をして、
本当にいい音楽に接したとき、心より感動出来るようになりたい
と願っている。
平成15年 6月吉日 北摂の寓居にて 楽師BEEHIVE
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参考文献
1:ヴァイオリン関係
音楽大百科事典; 平凡社
世界音楽文化図鑑; アラン・ブラックウッド著 別宮貞徳訳 東洋書林
楽器の事典;ヴァイオリン 東京音楽社
世界の楽器百科図鑑;マックス・ウエイド=マシューズ、別宮貞徳訳 東洋書林
楽弓の事典; bow 東京音楽社
ヴァイオリンの銘器 ;渡辺恭三 音楽友之社
ヴィオラとヴァイオリンの小百科;藤原義章 春秋社
フィドルの本 ;茂木健 音楽友之社
Histrical Violin; Dimitry Badiarow (レクチャーテキスト)
The Old Violin Makers ; ヴァイオリン商社制作
サントリー弦楽器コレクション; 大阪音楽大学音楽博物館編
Walk ;水戸芸術館機関誌No43
楽器の音響学;安藤由典著 音楽之友社
2;ヴァイオリニスト関係
20世紀の名ヴァイオリニスト ヨアヒム・ハルトナック著 白水社
ヴァイオリニストの系譜「ヨアヒムからクレーメルまで」;
中村稔著 音楽之友社
ヴァイオリニスト33 ;渡辺和彦著 河出書房新社
提琴有情 ;松本善三著 ;レッスンの友社
名演奏家事典; 音楽之友社
音楽家人名事典; 日外アソシエーツ
新訂音楽家人名事典; 日外アソシエーツ
演奏家大事典;(財)音楽鑑賞教育振興会
3;音楽家著作
弦によせて;ヨゼフ・シゲティ著,永井美恵子・北村義男訳、音楽之友社
回想の小野アンナ; 小野アンナ記念会
魔のヴァイオリン;佐々木庸一著 音楽之友社
琴線のふれあい;ギドンクレーメル著、音楽之友社
ヴァイオリン愛はひるまない;黒沼ユリ子著 海竜社
ヴァイオリンは語る;ジャック・ティボー著 白水社
ヴァイオリンと翔る ;諏訪内晶子著、 日本放送出版
僕は涙の出ない目で泣いた;川畠成道著 扶桑社
聞いてヴァイオリンの詩;千住真理子著 時事通信社
ヴァイオリンは見た;和波和禧著、海竜社
誰がヴァイオリンを殺したか;石井広著 新潮社
大ヴァイオリニストがあなたに伝えたいこと;千蔵八郎著、 春秋社
天才を育てる「ドロシー・ディレイの素顔」;バーバラ・L・サンド著
米谷彩子訳、音楽之友社
音楽の神童たち;クロード・ケネソン著、渡辺和訳 平凡社
ピアニストという蛮族がいる。中村紘子著 文春文庫
4;講習会
・Historical Violin ;Dmitry Badiarov 通訳:菅きよみ
・弓の歴史と鑑定;ジャン=フランソワ・ラファン氏 京都フランス・
アカデミー主催 通訳:森悠子
5;その他
・DVD; 「The Art of Violin 」 Bruno・Monsaingeon 編纂
収録演奏家;パガニーニ「画像は代役」/シゲティ/エルマン/
ハイフェッツ/ミルスタイン/フランチェスカッティ/
リッチ/ゴールドステイン/レーピン/ハシッド /
イザイ/エネスコ/クライスラー/ヌヴー/ティボー/
スターン/コーガン/シェリング/オイストラフ/
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