
現在では、「バイオリン奏者は、本当に素晴らしい人たちが揃っており、世界に誇れる」までに なりましたが、ここまで来るのにほぼ100年かかっています。 明治に入って、西欧の音楽が導入され初めてから今日まで、女流バイオリニストとして、 人名録(大高利夫「音楽家人名事典」(1996年10月)日外アソシエーツ)に載っている人を 数えますと、約175名になります。 彼女らの中から、次の選定基準で順を追って功労者を通覧してみたいと思います。 ただし、(7)項は、最新の新聞情報(読売新聞H。14.2.15付)です。 (1)女流バイオリニストの先駆者 安藤 幸女史 (2)優れた女性バイオリニストの指導者 小野アンナ女史 (男性の指導者は、上述の通りです。) (3)大正生まれの天才少女達 諏訪 根自子 巖本真理 辻 久子 (4)戦前昭和10年代生まれの逸才少女達 黒沼ユリ子 久保陽子 (5)昭和40年前後の生まれのバイオリニスト 千住真理子 竹沢恭子 (6)昭和46年度の世界に通じる実力派バイオリニスト達 五嶋みどり 諏訪内晶子 (7)平成13年度の新星中学生バリオリニスト達 木嶋真優 梁 美沙
| 明治時代の開拓者(パイオニア) 安藤 幸女史(1878/M.11.2.6-1963/S.38.4.8) |
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幸田露伴(1867-1947)(明治・大正・昭和時代の小説家、尾崎紅葉と紅露時代を築く) 幸田 延 (1870-1946)(音楽教育家・ピアニスト、欧米に初の音楽留学生となる。)等の 妹として、東京に生まれる。ルドルフ・ディートリッヒ、アウグスト・ユンケルに師事。 M。32 文部省留学生として、ベルリン留学。J。ヨワヒムに師事。 M。36 帰国し、東京音楽学校教授。 S。7 後進の指導に専念。(S。18まで東京音楽学校講師) ウィーン国際音楽コンクール審査員。 S。17 帝国芸術院会員 S。25 東京芸術大学講師。 S。33 文化功労者。 |
| ロシア人女性バイオリニスト指導者 小野アンナ女史(1894/M.27.4.1-1979/S.54.5.8) |
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ロシア・ペテルブルグ生まれ。旧姓アンナ・ブグノア。 6才よりピアノ、10才よりバイオリンを習う。 ペテルブルグ音楽院で、レオポルド・アウアーに師事。 「フリー・アーティスト」称号を授与される。 レニングラード遊学中の小野俊一と結婚し、 T。7 来日。小野アンナ音楽教室主宰。日本のバイオリン演奏発展に寄与した。 S。21 武蔵野音楽大学教授。「バイオリン音階教本」を著す。 S。35 ソ連に帰国。 |
| 諏訪 根自子 T.9.1.23- 3才より中島田鶴子、小野アンナに師事。 S。5 アレキサンダー・モギレフスキーに師事。 S。7 12才で初リサイタル S。11 渡欧、欧州各地で終戦まで活躍。 S。20 帰国。井口基成、安川加寿子等と共演。 S。35 第一線を退く。 S。56 バッハ無伴奏バイオリン ソナタ全曲(LP3三枚) S。58 23年ぶりのリサイタル 実妹バイオリニスト諏訪晶子 (国立音楽大学教授) |
巖本 真理 T.15.1.19-S.54.5.11 S。7小野アンナに師事 S。12 第6回音楽コンクール第一位 S。14 日本青年館にてデビュー 斉藤秀雄に室内楽を学ぶ。 S。21 ニューヨークタウンホールでリサイタル 東京音楽学校教授 S。25 渡米 S。27 毎日音楽賞 S。34 芸術選奨文部大臣賞 ブラームス室内楽作品演奏会 (巖本真理弦楽四重奏団) S。42 日本初の室内楽定期演奏会 (94回・200曲) |
辻 久子 T.15.3.16- 父バイオリニスト吉之助の教育を受ける。 S。10 デビューリサイタル S。13 音楽コンクールバイオリン部門第1位 (天才少女) S。16 相愛高女中退 S。24 神戸新聞平和賞 S。30 毎日音楽賞 S。31 兵庫県文化賞 S。41 音楽クリッティック賞 (バッハ無伴奏ソナタ全曲演奏) H。1 紫綬褒章 S。52 ストラディバリウス購入(3500万円) 大阪芸術大学教授 |
| 黒沼ユリ子 S.15.6.4-東京出身 8才からバイオリン S。31 音楽コンクールバイオリン部門第一位特賞 桐朋学園音楽家在学中プラハへ留学 鷲見三郎、F。ダニエルに師事。 S。35 プラハ現代音楽演奏コンクール第1位 S。37 プラハ音楽アカデミー卒業(栄誉賞) S。45チェコ 演奏芸術家賞 S。47 メキシコ文化人類学者と結婚、メキシコ在住 S。55 メキシコ市アカデミア・ユリコ・クロヌマ創設 日本で日墨交流演奏会(3回) S。59 アムネスティ日本支部チャリティ独奏会 S。61 メキシコ・アギラアスティカ勲章 S。63 日本政府外務大臣表彰 レコードアカデミー賞受賞(2回) 著書「我が祖国チェコの大地よードボルジャック物語」 (厚生大臣賞受賞) |
久保陽子 S.18.11.12-奄美大島出身 4才よりバイオリン ジャンヌ・イスナール、ヨーゼフ・シゲティに師事 桐朋学園女子校卒 S。37 チャイコフスキー国際コンクール第3位 S。39 パリ国立音楽院卒。パガニーニ国際バイオリン コンクール第2位 S。40 ロン・ティボー国際コンクール第2位 S。42 イタリア・クルチ財団国際バイオリン 第1回コンクール第1位 H。7 ジャパン・ストリング・カルテット結成 (久合田緑・菅沼準二・岩崎光) |
| 千住真理子 S.37.4.3-東京出身 鷲見三郎、江藤俊哉に師事 S。48 全日本学生音楽コンクール バイオリン部門・小学生部門(5年生)第1位 S。52 音楽コンクールバイオリン部門第1位レウカディア賞 S。54 パガニーニ国際バイオリンコンクール第4位 S。56 海外派遣コンクール特別表彰 S。59 オーストリアリッツ音楽祭オープニング冨田勲と共演 映画音楽始め新しい音楽分野を手掛ける S。60 慶應義塾大文学部哲学科卒 S。61 NHK国際放送番組キャスター担当 S。62 シノーポリ指揮フィルハーモニア管弦楽団 定期演奏会(ロンドン)で、欧州デビュー |
竹沢恭子 S.41.10.30-長野県出身 3才で鈴木才能教室入り、 小学5年生で、全日本学生音楽コンクール1位 中学卒業後上京 S。57 第51回音楽コンクールバイオリン部門第1位 S。58 桐朋学園高卒、米国留学 S。61 第2回インディアナポリス国際バイオリン コンテスト金賞 S。63 カーネギーホール、サントリーホール デビューコンサート ズービン・メータ指揮ニューヨークフィルと共演。 1708年製ストラディバリウス愛用 スターン、パールマンを目指す ドロシー・ディレイ、山村晶一、小林健次、川崎雅夫に師事 |
| 五嶋みどり S.46.10.25- 大阪府枚方市出身 4才から母親の手ほどきを受ける 6才で大阪弦楽協会コンサートで、 パガニーニ「奇想曲」を弾き、ソリストになる S。55 ジュリアード音楽院バイオリン教授 ディレー女史、演奏テープを聴き、招待。 S。57 渡米、ジュリアード音楽院特別奨学生になる S。58 ズービン・メータに認められ、ニューヨークフィルと共演 ”天才少女”としてアイザックスターン等と共演。 S。60レナート・バーンスタインと演奏旅行 S。61 帰国、セントルイス交響楽団と大阪・東京で共演。 H。2 カーネギーホール初出演。 H。2 プロフェショナル・チルドレンズ・スクール卒 S。63 S。62年度第38回芸術選奨文部大臣新人賞 H。1 ドロシー・チャンドラー芸術賞 H。3 アジア系米国人栄誉賞(ニューヨーク州) H。4 第7回京都音楽賞大賞。世界の子供のための無料コンサート みどり教育財団(米国)設立。 H。6 第25回サントリー音楽賞 ストラディバリウス・ジュピターを愛用。 |
諏訪内晶子 S.47.2.9- 東京出身 3才からバイオリンを始める 小学4年・中学2年で全日本学生音楽コンクール優勝 中学三年で江藤俊哉に師事。 S。62 日本音楽コンクール第1位 S。63 イタリアジェノア・第35回パガニーニ 国際コンクール最年少第2位 H。1 エリザベート国際音楽コンクール第2位 第4回日本国際音楽コンクール第2位 H。2 第9回チャイコフスキー国際コンクール バイオリン部門で日本人初の史上最年少第1位 バッハ最優秀演奏者賞、 チャイコフスキー作品最優秀演奏者賞も同時受賞 H。4 米国留学、ジュリアード音楽院。コロンビア大學人文科学。 1690年製ストラディバリウス愛用。 (註)「諏訪 晶子」氏(「諏訪 根自子」の欄参照) |
以上の女流バイオリニストは、既に音楽世界で認められて、どんどん活動している人たちばかりですが、 この人達に続く新進の若手バイオリニストが育ちつつあるのです。 最近の新聞情報から、二人の15才の少女の紹介がありました。
| 木嶋真優 兵庫県宝塚市出身・中学三年生 三歳の時から、バイオリニストに憧れる。 相愛大学小栗まち絵教授にも師事。 平成12年ポーランドヴィエニャフスキー 国際バイオリンコンクール ジュニア部門最高位 平成13年秋、母親とドイツ留学。 午前は、現地中学へ、午後はケルン音楽院へ。 最近の演奏活動 大阪センチュリー交響楽団 グラズノフ「バイオリン協奏曲」 (於ザ・シンホニーホール) 次の目標:ロン=ティボー国際コンクール チャイコフスキー国際コンクール |
梁美沙 大阪市立阪南中学三年生 英国ユーディ・メニューイン 国際バイオリンコンクール ジュニア部門優勝 最近の演奏活動 全国のオーケストラと競演 平成13年国際オリンピック委員会 大阪市プレゼンテーターとして演奏 大阪相愛音楽学園に進学予定。 かの辻久子と同じ道を行くか。 小学生の頃から小栗まち絵相愛大学教授に指示。 次の目標:ロン=ティボー国際コンクール チャイコフスキー国際コンクール |

(補足)二人の先生である相愛大学小栗教授の弁 夫で、京都市交響楽団コンサートマスター工藤千尋氏と共同で若手を指導しているとのこと。 「二人とも才能と強さを持っているだけに、互いの存在を刺激にそれぞれ成長に繋げて くれればうれしい」とのこと。 なお、二人の生徒には、上記の木嶋さん、梁さん以外にニューヨーク留学中の同じ15才の 神尾真由子さんもいるとのことで、人材は、豊富です。 新聞記事になった翌日、早速「大阪のアグネスチャン」というべき「やんみさ」「梁美沙」ちゃんは 大阪市役所のホールで「平成13年度此花咲くや賞」の表彰を受けました。 この「此花咲くや賞」とは、大阪市市民局が主催している若手文化活動者の表彰制度です。 ちなみに、平成11年度は、昨年取り上げた女流指揮者西本智実さんが受賞しています。 受賞の選考講評は、「中学3年生という若さながら、堂々とした伸びやかさと、繊細な音色、 研ぎ澄まされた感性での演奏は聴衆を魅了し、多くのオーケストラとの競演もこなすなど 技術的音楽的にも高い評価を得ている。ユーディ・メニューイン国際バイオリンコンクール ジュニア部門で第一位となるなど、その実力は次代のバイオリン界を担う逸才と期待されている。」 というものです。 因みに平成13年度の「此花咲くや賞」は、次の人々が表彰されています。 美術部門 現代美術作家 伊藤 存さん(昭和46年生まれ) 音楽部門 ヴァイオリン奏者 梁 美沙さん(昭和62年生まれ) 演劇・舞踏部門 文楽人形遣い 吉田玉佳さん(昭和40年生まれ) 大衆芸能部門 漫才師 ますだおかださん 岡田圭右(昭和43年生まれ)増田英彦(昭和45年生まれ) 文芸その他部門 歌人 江戸 雪さん(昭和41年生まれ)