
********* 戦後世代の音楽家に対する筆者の追加コメント ********* 「世界に通じる日本の若手バイオリン奏者」の所でも、言及しましたように、日本の音楽世界も 戦前と戦後ではかなり変わってきたことを述べました。 併せて、音楽環境の変化とそれに連れて育った世代の音楽界での活躍を、戦後の新しい現象と 云うべき「シンガー・ソングライター」といわれる人々の登場に例を取ってみたいと思います。 この「シンガー・ソングライター」とは、古い言い方ですと「作詞・作曲・歌い手」が一人の人物で あるということです。これは、音楽の元々の発生理由からすれば、誠に当たり前の 事で、歌というのは、元々そうであるべきなのですが、いつの頃からか、それこそ、ギリシャ時代から かもしれませんが、「わたしつくるひと」「あなたえんそうするひと」に別れてしまっています。 特に人間が謡う「歌」の場合は、それが当然のようになっています。 近代音楽特にバッハ以降の古典・ロマン派の音楽時代でも一部作曲・演奏が同一人の例がありますが 一般的ではありません。一般的には、「有名な作曲家」と「名演奏家」という音楽世界でした。 たしかに音楽が大規模であればあるほど、分業しないとやっていけません。しかも、なかなか 表現したいことをうまく音楽に乗せて、しかもみんなに聞かせるだけの演奏力で、ということに なりますと、大変なのは分かります。 ところが、日本においては、1960年代から、若い世代に「シンガー・ソングライタ−」が出て きました。それに従って、戦後世代の音楽世界は、非常に多岐に且つ活発になっていったとおもいます。 あらゆる世代に受け入れられたかは別にして。 他人から与えられて、押しつけられた音楽だけに満足しなくなった世代が出てきたのと、音楽の環境が それだけ豊かなものになってきたからでもあるのでしょうか。 「ポピュラー音楽人名事典」(第2版)日外アソシエーツ(2000年7月)によりますと、 「シンガー・ソングライター」とリストアップされる人は、100名を越えています。 この分野に詳しくない筆者でも、知っている音楽家を挙げますと、次の18名が出てきます。
| 年 代 | 氏 名 | 生年月日 |
|---|---|---|
| 昭和20年まで | 加藤登紀子 | S。18.12.27 |
| 小掠圭 | S。19.1.18 | |
| 昭和21年から 昭和25年まで | 吉田拓郎 | S。21.4.5 |
| 寺尾 聡 | S。22.5.18 | |
| 井上陽水 | S。23.8.30 | |
| 谷村新司 | S。23.12.11 | |
| さとう宗幸 | S。24.1.25 | |
| 南こうせつ | S。24.2.13 | |
| 堀内孝雄 | S。24.10.27 | |
| 来生たかお | S。25.11.26 | |
| イルカ | S。25.12.3 | |
| 昭和26年から 昭和30年まで | 五輪真弓 | S。26.1.24 |
| 中島みゆき | S。27.2.23 | |
| さだまさし | S。27.4.10 | |
| 河島英吾 | S。27.4.23 | |
| 吉 幾三 | S。27.11.11 | |
| 松任谷由美 | S。29.1.29 | |
| 松山千春 | S。30.12.16 |
いずれのシンガー・ソングライターもヒット曲を出しており、世代を越えて受け入れられている歌も 多く聴かれます。 特に昭和25年前後生まれの数名は、大変な人気者も多いように思います。 人によって若干、歌がかっている人、曲がかっている人それぞれですが、レコードやCD販売実績は たいへんなものです。 この人達の音楽世界を推測しますと、生まれながらにかなり自由な世界での音楽環境で育っていることになります。 作詞も作曲も苦労に苦労を重ねてという雰囲気ではありません。自由な発想の世界で、自在に音が 生まれてくると言った感じです。 しかし、この世代の人たちも、21世紀に入ってほとんどがもはや50代の世代になっていて、 もう若いとは云えません。 この人達の作った音楽を、また「生まれながらに聞いて育ってきた次の世代」がまた新たな 「シンガー・ソングライター」世代を作っていくことになれば、どんどん日本の音楽世界も変貌を 遂げていくことができるわけです。 21世紀の中頃には、この「初代シンガー・ソングライター」から100年経つことになります。 果たしてどんな歌謡世界が日本に展開しているでしょうか。